真 湯・祭 畤 エ リ ア

原生林の育む豊かな自然と
大地の動きを体感

栗駒山の麓に位置する真湯原生林では、数百、数千年間に渡りありのままの姿をとどめてきた巨木の森が広がっています。約2000万年前の海底火山の噴火を示す地層や、断層活動によってできた岩壁からは大地の動きを実感。祭畤地区では、大地震で落橋した大橋「祭畤大橋」を眺めることができます。


原生林

1950年以降進められた拡大造林政策にて、日本の原生林の多くはその姿を失ってしまいましたが、栗駒山麓には未だ人の手が加わっていない貴重な原生林が多く残っています。真湯原生林もそのうちの1つ。真湯原生林は、長期間にわたり自然の力だけで遷移してきた原生林で、「極相林」と呼ばれる林となっています。極相林は、数百年経過しても植生の構成に大きな変化が見られなくなる、いわば「林の最終到達地点」。自然だけの力で形作られた原生林では、多種多様な生態系が育まれます。

フィトンチッド

「フィトンチッド」とは、植物から放出される揮発性物質のことです。フィトンチッドには除菌・抗菌・防臭・抗酸化といった作用があり、自由に動き回ることができない植物たちは自らの体を守るためにこの揮発性物質を放出しています。フィトンチッドは人体にも有益であることが分かっており、森林浴で得られるリラックス・デトックス効果もフィトンチッドによるものです。原生林の中にはフィトンチッドが大量にあふれており、少し散歩するだけで心身ともにリフレッシュできます。

豊富な水

栗駒山麓に広がる原生林の多くは、ブナを主体とする落葉広葉樹林。落葉広葉樹の森では、毎年大量の落ち葉が発生し、その分解により豊富な腐葉土が形成されています。腐葉土は水をスポンジのように吸収する性質を持っているため、腐葉土が豊富な山ほど保水力が高く、多くの水を含んでいる山といえます。また、栗駒山は冬季の積雪が豊富で山には遅くまで残雪が残ります。発生した大量の雪解け水は川に流れ込み、下流の町まで大量の水を供給しています。このように、栗駒山には「地域の水瓶」としての役割も備わっています。

大地の動き

栗駒山の位置する奥羽山脈は、約2000万年前には浅い海だったと考えられています。その後、東西から圧縮される力を受け徐々に大地が隆起し東北を縦断する大山脈となりました。東西からの圧縮により山が作られる過程で、山の麓にはだんだんとひずみが蓄積し断層が形成されました。真湯エリアには、多くの断層が点在しており、興味深い景観を形作っています。祭畤地区では、2008年に大断層のずれによって発生した「岩手・宮城内陸地震」による地震の爪痕を眺めることができます。

雪解けと芽吹き

真湯の長い冬が終わり雪解けが進むと、地面からは花々が一斉に芽吹き始めます。「スプリング・エフェメラル」と呼ばれる春の花々は、背丈が小さく、かわいらしい花を咲かせるのが特徴的です。雪解け直後は他に背丈の高い植物がおらず、背が低くても多くの日の光を浴びることができるのです。この花たちは数週間の短い期間だけ花を開かせた後、再び来年の春まで地面の下で長い眠りにつきます。地面に広がるイワウチワ・カタクリ・キクザキイチゲなどの群落は感動です。

森の生き物たち

真湯の原生林には多くの動物たちが集まってきます。カモシカやリスなどの哺乳類はもちろん、真湯の森では多種多用の鳥たちにも出会え、バードウォッチングにも最適。春には数多くの鳥たちが求愛のためさえずり始め、アオゲラやアカゲラなどのキツツキ類が営巣のためにドラミング(木に穴をあけるためくちばしで木をつつく行為)の音を響かせます。営巣のためキツツキたちが空けた穴は、他の鳥やコウモリなどの休憩場・住みかにもなっています。静かに森を眺めていると、かわいらしい声で鳴くアカショウビンに会えるかも…?

logo-vws

アクセス

  • 総合案内(真湯温泉センター)
    岩手県一関市厳美町真湯1
  • お車でお越しの場合
    東北自動車道一関ICから約30分
  • 新幹線・電車・バスでお越しの場合
    JR一ノ関駅下車 、車で約40分・バスで約60分       
    ※一ノ関駅 ⇔ 真湯温泉のバスは冬季運休となります、公共交通機関でお越しの際は、一ノ関駅からレンタカー等をご利用ください。